働くなかで、「もっと合理的な経営にしたい」「企業のここを改善したい」と思うこともありますよね。
しかし、企業改革をするには莫大なお金がかかります。そこであなたの力になってくれるのが、企業活力強化資金です。
この融資は、セルフサービス店の創設やキャッシュレス推進費用などを融資してくれます。
企業活力強化資金とは
企業活力強化資金とは、企業の合理化に伴う設備投資、ものづくり基盤技術の高度化の促進、下請中小企業の振興、空き家店舗の解消などに使う資金を貸してもらえるものです。
日本政策金融公庫が行っている融資で、各支店の窓口などで相談できます。
企業活力強化資金の融資の対象は?その使い道は?
融資を受けられる対象や使い道、利率は、国民生活事業(個人事業主、小規模企業)と中小企業事業(中小企業)で分けて設定してあるので注意が必要です。
国民生活事業(個人事業主、小規模企業)の場合
国民生活事業では、以下の条件が設けられています。
分野 | 詳細 | 使い道 | 適用利率 | |
1 | 商業振興関連 | l 卸売業
l 小売業 l 飲食サービス業 l サービス業 l 不動産賃貸業 のいずれかの業種の事業を含む方 |
1. 合理化、共同化等を図るための設備の取得
2. セルフサービス店の取得 3. ショッピングセンターへの入居 4. 新分野への進出 5. 販売促進、人材確保(運転資金のみ) 6. 空き店舗への入居 7. 地域商店街活性化法関連 |
基準利率
特別利率A、B、C |
2 | 下請中小企業振興法関連 | 下請中小企業振興法第8条の規定に基づき、特定下請連携事業計画の認定を受けた連携体を構成する方 | 認定計画の実施のために必要な設備資金・運転資金 | 基準利率
特別利率B |
3 | 空家等対策関連 | 不動産賃貸業を営む方が、
空家等対策の推進に関する特別措置法に規定する「空家等対策計画」を策定している市町村で、老朽化した賃貸用不動産の改修を行う場合 |
賃貸用不動産を改修するために必要な設備資金 | 基準利率 |
4 | 支払条件改善関連 | 取引先に対する支払い条件の改善に取り組む方 | 設備資金・運転資金 | 基準利率
特別利率A |
5 | 地域再生法関連 | l 卸売業
l 小売業 l 飲食サービス業 l サービス業 の事業を営む方で、 地域再生法の「商店街活性化促進事業計画」に基づき、空き店舗を利用して事業を行う方 |
l 合理化、共同化等を図るための設備の取得
l セルフサービス店の取得 l ショッピングセンターへの入居 l 新分野への進出 l 販売促進、人材確保(運転資金のみ) を行うための設備資金・運転資金 |
特別利率B |
6 | キャッシュレス決済関連 | l 卸売業
l 小売業 l 飲食サービス業 l サービス業 l 道路旅客運送業 を営む方で、キャッシュレス決済の導入により生産性の向上を図る方 |
キャッシュレス決済に対応するために必要な運転資金 | 特別利率Q |
7 | 親事業者の生産拠点の閉鎖・縮小または発注内容の見直しに伴い、自らの取引環境の改善に取り組む方 | 設備資金・運転資金 | 基準利率 |
設備導入のための資金も、人材確保のための資金も融資の対象です。幅広い業務に活用できます。
中小企業事業(中小企業)の場合
中小企業事業では、以下が条件になっています。
対象 | 使い道 | 適用利率(土地にかかる資金は除く) | |
1 | l 卸売業
l 小売業 l 飲食サービス業 l サービス業 を営む方、またはこれらの方で構成された事業協同組合など |
<設備資金・長期間の運転資金>
①合理化、共同化を図るための設備の取得 ②セルフサービス店の取得 ③集配センターの取得(卸売業者に限る) ④ショッピングセンターへの入居(卸売業者を除く) <長期間の運転資金> ⑤販売促進・人材確保 (必要とする1年間の費用) |
<設備資金> 2億7000万円までは特別利率①(一定の要件を満たす場合特別利率②) 2億7000万円超は基準利率<運転資金>基準利率 |
2 | 中心市街地関連地域において
l 卸売業 l 小売業 l 飲食サービス業 l サービス業 l 不動産賃貸業 を営む方 |
<設備資金・長期間の運転資金>
①合理化、共同化を図るための設備の取得 ②セルフサービス店の取得 ③集配センターの取得(卸売業者に限る) ④ショッピングセンターへの入居(卸売業者を除く) ⑤新分野への進出 |
2億7000万円までは特別利率①②
2億7000万円超は基準利率 |
3 | 中心市街地活性化法に規定する「特定民間中心市街地経済活力向上事業計画の認定」に基づき、
l 中小小売商業高度化事業 l 特定商業施設等整備事業 l 同法第7条第10項第1号に掲げる事業 のいずれかの事業を実施する方 |
認定計画の実施のために必要な設備資金および長期運転資金
|
特別利率③ |
4 | 中心市街地活性化法に規定する「特定民間中心市街地経済活力向上事業計画の認定」に基づき整備された施設において
l 卸売業 l 小売業 l 飲食サービス業 l サービス業 のいずれかの事業を営む方またはこれらの方で構成された事業協同組合など |
<設備資金・長期間の運転資金>
①合理化、共同化を図るための設備の取得 ②セルフサービス店の取得 ③集配センターの取得(卸売業者に限る) ④ショッピングセンターへの入居(卸売業者を除く) ⑤新分野への進出 |
2億7000万円までは特別利率③
2億7000万円超は基準利率 |
5 | 中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律に基づき、
経済産業大臣から特定研究開発等計画の認定を受けた方で、 経営状況について一定の要件を満たす方 |
認定計画の実施のために必要な設備資金および長期運転資金
|
2億7000万円まで特別利率②
2億7000万円超は基準利率 |
6 | 下請中小企業振興法の規定に基づき、特定下請連携事業計画の認定を受けた連携体を構成する方 | 認定計画の実施のために必要な設備資金および長期運転資金
|
2億7000万円まで特別利率②
2億7000万円超は基準利率 |
7 | 取引先に対する支払条件の改善に取り組む方 | 必要な設備資金および長期運転資金
|
基準利率(要件を満たす場合で、2億7000万円までは特別利率①) |
8 | 親事業者の生産拠点の閉鎖・縮小または発注内容の見直しに伴い、自らの取引環境の改善に取り組む方 | 必要な設備資金および長期運転資金 | 基準利率 |
9 | 空家等対策の推進に関する特別措置法に規定する「空家等対策計画」を策定している市町村の区域内において、
一定の空室が生じている老朽化した賃貸用不動産の改修を行う不動産賃貸業を営む方 |
賃貸用不動産を改修するために必要とする設備資金 | 基準利率 |
10 | 地域再生法に規定する商店街活性化促進区域において、商店街活性化促進事業計画に基づき
l 卸売業 l 小売業 l 飲食サービス業 l サービス業 のいずれかの事業を営む方 またはこれらの方で構成される事業協同組合などで、空き店舗を利用して事業を実施する方 |
<設備資金・長期間の運転資金>
①合理化、共同化を図るための設備の取得 ②セルフサービス店の取得 ③集配センターの取得(卸売業者に限る) ④ショッピングセンターへの入居(卸売業者を除く) ⑤新分野への進出 |
2億7000万円までは特別利率②
2億7000万円超は基準利率 |
11 | l 卸売業
l 小売業 l 飲食サービス業 l サービス業 のいずれかの事業を営む方 またはこれらの方で構成された事業共同組合などであって、キャッシュレス決済の導入により生産性の向上を図る方 |
キャッシュレス決済に対応するために必要な長期運転資金 | 基準利率-0.4% |
企業活力強化資金って、いくらまで借りられる?その返済期間や担保は?
この資金では、それぞれ以下の金額まで融資を受けられる場合があります。
- 国民生活事業……7200万円(うち運転資金4800万円)
- 中小企業事業……直接貸付は7億2000万円(うち運転資金2億5000万円)
代理貸付は1億2000万円
返済期間の上限はどちらの枠も同じです。使い道により分かれており、以下の設定になっています。
- 設備資金……20年以内(うち据え置き期間2年以内)
- 運転資金……7年以内(うち据え置き期間2年以内)
保証人や担保に関しては相談の上決定としており、必ずしも必要というわけではありません。
企業活力強化資金の利率は?
国民生活事業の利率は、担保を提供するかしないかで変わってきます。
基準利率 | 担保あり……1.11%~2.10%、担保なし……2.06%~2.45% |
特別利率A | 担保あり……0.71%~1.70%、担保なし……1.66%~2.05% |
特別利率B | 担保あり……0.46%~1.45%、担保なし……1.41%~1.80% |
特別利率C | 担保あり……0.30%~1.20%、担保なし……1.16%~1.55% |
特別利率Q | 担保あり……0.71%~1.70%、担保なし……1.66%~2.05% |
中小企業事業の場合は、貸付期間によって変わります。担保の有無は関係しないため注意が必要です。
基準利率 | 11年以内……1.11%、12年以内……1.12%、13年以内……1.14%、14年以内……1.15%15年以内……1.17%、16年以内……1.19%、20年以内……1.30% |
特別利率① | 11年以内……0.71%、12年以内……0.72%、13年以内……0.74%、14年以内……0.75%15年以内……0.77%、16年以内……0.79%、20年以内……0.90% |
特別利率② | 11年以内……0.46%、12年以内……0.47%、13年以内……0.49%、14年以内……0.50%
15年以内……0.52%、16年以内……0.54%、20年以内……0.65% |
特別利率③ | 16年以内……0.30%、20年以内……0.40% |
まとめ
企業活力強化資金は、少々複雑です。
いずれも業務の合理化や高度化の推進などを手助けしてくれるものではありますが、利率や使い道がわかりにくくなっています。
迷ったら、日本政策金融公庫の窓口に相談してみましょう。