新型コロナウイルス感染症の影響で、日本の経済活動に停滞がみられています。
会社や店舗の経営難や営業形態の変化など、経営資金面に関する打撃はかなりのもの。
この状況を受け、日本政策金融金庫は、最近の売上が一定程度減少している事業者を対象とした融資制度を設けました。
融資を受けても返済が不安…という方にこそ活用がおすすめされる「特別貸付」のメリットを解説していきます。
「特別貸付」のメリットや融資限度額って?
「特別貸付」融資制度では、災害発生時に被害を受けた人が受けられる災害貸付と同じように、融資利率が低減されます。
今回の特別貸付には、次のメリットがあるのが特徴です。
・融資利率が低減され、長期的な返済が選べる
・融資限度額は6億円!利率低減あり
・当初3年間は実質的に無利子
融資後は、利息も含めて公庫へ返済。利子補給の制度(特別利子補給制度)を利用して「利子補給」を受けることで、当初3年間は実質的に無利子になります。
順調に返済できるか心配という方も、融資後のはじめの3年間は利子補給の活用ができますので、実質的に無利子で特別貸付を受けられます。
特別利子補給制度の詳細はこちら
新型コロナ「特別貸付」の利用対象やお金の使い道は?
利用対象
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、次のいずれにも当てはまる方が、特別貸付の対象となります。
・最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること(注1)。
・中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること。
すでに別の融資を利用した人でも、新型コロナウイルス感染症の影響により、資金繰りに影響が出ている場合は相談可能です。
ただし、創業後3か月未満の場合、新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資は利用できません。 創業3か月を超えていれば、創業時に融資を受けて返済開始となっている場合でも相談できます。
資金の使い道
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および長期運転資金。
たとえば…
・飲食店で感染対策のため手洗い設備を導入した際のコスト
こういったコストは、新型コロナウイルス感染症予防のためですので、資金の使い道として適切です。
融資を希望する場合は、どんな目的で使用するかきちんと計画を立てたり、担当者に説明できるようにしましょう。
融資限度額6億円だけど利率は低めって本当?
特別貸付の融資限度額と貸付期間ごとの利率を紹介します。
融資限度額
直接貸付 6億円(別枠)。
既存の融資制度の残高にかかわらず、別枠で6億円です。
このうち2億円(既存融資の借換部分も含む)を限度として、当初3年は災害発生時の融資制度に適用される、基準利率から 0.9%低減した利率が適用。
3年経過後は災害発生時の融資制度に適用される基準利率に変更。
利率(年)
基準利率(貸付期間によって異なります)
・5年以内〜9年超10年以内の場合、1.1%
・10年超11年以内の場合、1.12%
・11年超12年以内の場合、1.13%
・12年超13年以内の場合、1.15%
・13年超14年以内の場合、1.17%
・14年超15年以内の場合、1.19%
・15年超16年以内〜19年超20年以内の場合、1.30%
ただし、2億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%(注2)、4年目以降は基準利率。
返済期間
設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)
担保
無担保。
5年経過ごと金利見直し制度を選択できます。
融資のお申込み
直接貸付
日本公庫各支店の中小企業事業の窓口にお申し込みください。
(注1)業歴が3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少していることをいいます。
① 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む。)の平均売上高
② 令和元年12月の売上高
③ 令和元年10月~12月の平均売上高
(注2)一部の対象者については、基準利率-0.9%の部分に対して中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることにより、当初3年間が実質無利子となります。
※令和2年度第2次補正予算を受け、令和2年7月1日から、融資限度額が3億円から6億円に
拡充されました。また、低減利率の限度額も1億円から2億円に拡充されました。
あわせて、「実質無利子化」の対象も1億円から2億円に拡充されました。
申請に必要な書類と申請方法は?
返済の不安が軽減される特別貸付。申請にはどんな書類と手続きが必要なのでしょう。
【中小企業事業】 「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の提出書類
・借入申込書(国民生活事業への申込には利用できないことに注意してください)
・法人の登記事項証明書(原本)(現在、中小企業事業をご利用いただいていない方)
・代表者個人の印鑑証明書(原本)(現在、中小企業事業をご利用いただいていない方)
・納税証明書(原本)(最近2期分の法人税の税額証明(その1)(注3)、直近の消費税の未納税額がない証明(その3又はその3の3)) (現在、中小企業事業をご利用いただいていない方)
・最近3期分の税務申告書・決算書(勘定科目明細書を含みます。)
・最近の売上高が把握できる資料
【中小企業事業】 「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の申込方法
①相談:お近くの日本公庫中小企業事業の窓口まで相談に行きましょう。電話相談もおすすめです。
②申込:申込に必要な書類を提出(郵送等での提出も可能)。
③面談:資金の使い道や事業の状況などについてヒアリング。面談が困難な場合は代替手段を検討可能。
④融資:融資決定後、契約手続きの打ち合わせへ。契約手続き完了後、送金されます。
返済の不安を抱えている人こそ特別貸付で安心感
融資を受けてもその後返済が不安を感じ、躊躇する人は少なくありません。
しかし今回の特別貸付は、利子補給で利率を低くすることが可能です。
創業から3か月を超えている事業者のみなさんは、要件に当てはまるか確認してみましょう。
withコロナにおいて経営戦略をしっかりと立てるためにも、まずは相談窓口に問い合わせてみてくださいね。