ニューノーマル時代に打って出るための「新規開業資金」!その条件、利率などをやさしく解説!

 

「開業したい」そう思ったときに頼りになるのが新規開業資金です。

融資限度額7200万円、返済期間は最長20年と、軌道に乗せるのが大変な開業時にぴったりの融資になっています。

でも融資ってよくわからないし、融資の対象になるのかもわからない……。

そんな不安や疑問もありますよね。開業を考えているあなたへ、新規開業資金について解説します。

 

新規開業資金ってどういう融資?

そもそもこの「新規開業資金」とは何なのか。これは、

  • 新しく事業を始める方
  • 事業開始後おおむね7年以内の方

を主な対象としてお金を貸し出すものです。事業を始める前でも、始めてから数年が経っていても、利用できる場合があります。

 

新規開業資金の融資を受けられる人ってどういう人?

新規開業資金は、以下のいずれかの項目に該当すれば、融資を受けられる可能性があります。

法人か個人事業主かで融資の可否が決まることはなく、該当者は誰でも対象にあたります。

 

  1. 現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方

(1)現在お勤めの企業に継続して6年以上お勤めの方

(2)現在お勤めの企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

  1. 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
  2. 技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
  3. 雇用の創出を伴う事業を始める方
  4. 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方
  5. 地域創業促進支援事業又は潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けて事業を始める方
  6. 公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方
  7. 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
  8. 前1~8までの要件に該当せず事業を始める方であって、新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると公庫が認めた方で、1,000万円を限度として本資金を利用する方
  9. 1~9のいずれかを満たして事業を始めた方で事業開始後おおむね7年以内の方

 

新規開業資金でいくら借りられる?そのお金の使い道は?

融資を受けたら、そのお金は以下のどちらかで活用できます。

  • 設備資金
  • 運転資金

設備資金とは、土地や建物、機械などの金額の大きな設備を購入するためのお金を言います。

対して運転資金とは、仕入れや給与、家賃の支払いにあてるお金です。

これらの目的で借りられる総額は、最大7200万円までになります。

ただし、運転資金として借りられるのは最大4800万円までという上限があるので、注意が必要です。

 

新規開業資金は、いつまでに返さなきゃいけない?

返済期間は、借りたお金の使い道によって異なります。

  • 設備資金……20年以内(うち据え置き期間が2年以内)
  • 運転資金……7年以内(うち据え置き期間が2年以内)

設備資金の返済期間は、10年以内に設定されている融資が多いです。新規開業資金はその倍の期間が設けられており、返済期間が比較的長く確保されています。

また据え置き期間とは、支払いが利息分のみで良い期間のことです。つまり、融資から最長2年後までに、本格的な返済が始まることになります。

 

新規開業資金の利率はどれくらい?自己資金はいるの?

お金を借りるにあたっては、利率や自己資金(自分で用意しておかなければならないお金)がどう設定されているのかも気になるところですよね。新規開業資金の場合はどうでしょうか。

 

基本的には基準利率

新規開業資金では、基準利率が採用されています。基準利率は以下の割合です。

  • 担保なしの融資……06~2.45%
  • 担保ありの融資……11~2.10%

ただし特定の9項目に該当する人に限り、特別利率として利率が下がる場合もあります。

 

利率が低くなるのはどういう人?

それでは、利率が低くなる項目を見ていきましょう。

  1. 地域おこし協力隊の任期を終了した方であって、地域おこし協力隊として活動した地域において新たに事業を始める方
  2. Uターン等により地方で新たに事業を始める方
  3. 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けて新たに事業を始める方
  4. 地域創業促進支援事業又は潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けて新たに事業を始める方
  5. 外国人起業活動促進事業における特定外国人起業家の方で新たに事業を始める方
  6. 独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資(転換社債、新株引受権付社債、新株予約権および新株予約権付社債等を含む。)を受けた方
  7. 地方創生推進交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けて新たに事業を始める方
  8. 技術・ノウハウ等に新規性がみられる方
  9. 地方創生推進交付金を活用した起業支援金及び移住支援金の両方の交付決定を受けて新たに事業を始める方

これらの項目は、1~6、7・8、9という3グループに分かれています。それぞれのグループに特別利率が設定されており、

  • 特別利率A……1~6の項目
  • 特別利率B……7と8の項目
  • 特別利率C……9の項目

となっています。

 

基準利率
担保なし……2.06%~2.45%
担保あり……1.11%~2.10%
特別利率A(1~6)
担保なし……1.66%~2.05%
担保あり……0.71%~1.70%
特別利率B(7・8)
担保なし……1.41%~1.80%
担保あり……0.46%~1.45%
特別利率C(9)
担保なし……1.16%~1.55%
担保あり……0.30%~1.20%

 

基準利率と比較してみると、特別利率は少なくて0.4%、最大で0.81%も低くなっており、負担が軽減されています。

一方で土地取得金については例外があり、注意が必要です。6以外の項目における土地取得金は特別利率が適用されず、基準利率のままになります。

 

利率区分 利率(年利%) 土地取得金
1 特別利率A 担保なし……1.66~2.05%

担保あり……0.71~1.70%

基準利率
2
3
4
5
6 特別利率
7 特別利率B 担保なし……1.41~1.80%

担保あり……0.46~1.45%

基準利率
8
9 特別利率C 担保なし……1.16~1.55%

担保あり……0.30~1.20%

基準利率

 

自己資金は不要!

新規開業資金を利用するにあたって、あらかじめ用意するべき自己資金はありません。

貯金額を気にすることなく、融資を申し込むことができます。

 

新規開業資金を借りるために、保証人は必要?

保証人・担保については「お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます」とされています。必ず必要というわけではありません。

 

新規開業資金を申請したい!必要書類は?

新規開業資金を申請するには、はじめに借入申込書を用意する必要があります。

日本政策金融公庫のホームページ

でダウンロードをし、記入します。

記入ができた借入申込書は、窓口か郵送での提出です。

しかし場合によっては、添付書類として

  1. 創業計画書
  2. 見積書(設備資金の申し込みの場合)
  3. 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
  4. 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書(担保を希望する場合)
  5. 都道府県知事の「推せん書」(借入申込金額が500万円以下の場合は不要です。)または生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」(生活衛生関係の事業の方のみ)

を揃える必要があります。

ただし、飲食店営業や理容業、美容業などの生活衛生関係の事業の場合は少々流れが異なります。

融資申し込みの受付より先に、5.の「推せん書」あるいは「振興事業に係る資金証明書」を提出する必要があります。

書類が用意できたら、法人は本店所在地、個人は開業予定地近くの支店に提出をしましょう。

そうすると、面接に進むことができます。

 

面接ではさらに、以下の書類が必要になるので、こちらもあらかじめ用意しておきましょう。

  • 計画にまつわる資料
  • 試算・負債のわかる書類

 

まとめ

新規開業資金は、新しく事業を始めたい方や事業を初めて間もない方向けの融資です。

そのため返済期間が長く設定されており、返済に焦らずに事業に集中できます。

またUターンで事業を行う方など、利率が低くなる場合も多く、開業資金を借りる際にはぜひ活用したい融資と言えるでしょう。

理想の開業を迎えるためにも、新規開業資金の利用も検討してみてはいかがでしょうか。