コロナの影響による業績悪化!そんな時こそ利用できるセーフティネット貸付。その融資の中身は?

 

新型コロナウイルス感染症により、人件費や仕入れ資金、設備費用などの支払いに苦労する事業者が多くなりました。

そのタイミングで融資対象の緩和があった「環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」がどのような制度なのか、その申請のメリットや申請方法は、などを解説していきます。

 

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)ってどういう融資?

これは「一時的に業績が悪化していて資金繰りに困っているが、中長期的に回復が見込まれる個人事業主、中小企業のための融資制度」を言います。

つまり、事業立て直しのための融資制度です。

 

セーフティネット貸付により融資されたお金の使い道は?

  • 運営資金(人件費、仕入れ費用、文房具や印刷用紙代など)
  • 設備資金(建物、車、機械設備などの設備)

などに充てることができます。

業績悪化によって厳しくなった人件費の支払いなどを、この融資でカバーすることができるのです。

 

環境変化対応資金(セーフティネット貸付)のメリットって?

数ある融資の中から「セーフティネット貸付」を利用するメリットには、以下のようなものがあります。

  • 業績悪化の中でも融資してもらえる
  • 固定金利・長期の返済期間設定で安心
  • お金の使い道が幅広い

民間の銀行は、業績が悪化している企業には積極的に融資をしてくれません。

きちんと返済ができるのかどうか、非常にリスキーだからです。

しかし政府出資の政策金融機関である「日本政策金融公庫」であれば、融資をしてもらえる可能性があります。

加えて、金利が変わらないので金利の上昇を心配する必要がありません。

返済期間も長期的な設定なので、安心して受けられる融資です。

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の融資限度額は?

融資として貸してもらえる限度額は、対象の事業者が個人事業主・小規模企業(国民生活事業)か、中小企業(中小企業事業)かで異なります。

  • 個人事業主、小規模企業(国民生活事業)……4800万円
  • 中小企業(中小企業事業)……7億2000万円

もちろん、この金額が必ず借りられるというものではありません。限度額なので、最大で借りられる金額です。特に中小企業は金額が大きく、充実した融資制度と言えます。

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の利用対象者やお金の使い道は?

セーフティネット貸付の融資を受けられる可能性のある事業者は、どういった条件なのでしょうか。

個人事業主・小規模企業(国民生活事業)も、中小企業(中小企業事業)も、設定されている条件は同じです。以下のうち、一つでも該当すれば融資を受けられる可能性があります。

  1. 最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している方
  2. 最近3ヵ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し5%以上減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方
  3. 最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している方
  4. 最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により、1ヵ月以上悪化している方
  5. 社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方
  6. 最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている方
  7. 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している方
  8. 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である方

 

また上記に加えて、新型コロナウイルス感染症に対する緩和として経済産業省は

「2月14日より、セーフティネット貸付の要件を緩和し、「売上高が5%以上減少」といった数値要件にかかわらず、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象に。」と発表しました。

(参照:pamphlet.pdf (meti.go.jp)

売上高の推移がどうであれ、業績が悪化している事業者や、今後悪化が見込まれる事業者も融資を受けられることになったのです。

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の返済期間は?

返済期間に関しては、お金の使い道によって変わってきます。

  • 人件費など、運転資金……8年以内(うち据置期間は3年以内)
  • 機械設備など、設備投資……15年以内(うち据置期間は3年以内)

返済期間は、お金を返し終わるのを待ってもらえる期間のことです。ただし、この中に「据置期間」が含まれていることに注意する必要があります。

 

据置期間は「利子の支払いのみ。本格的な返済を待ってくれる期間」です。

最長でも、融資を受けて3年以内には本格的な返済が始まります。

その後、運転資金なら5年以内、設備資金なら12年以内にお金の返済をしなければなりません。

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の利率はどれくらい?

利率は、基準利率を用います。基準利率は、

  • 担保を不要とする融資……06~2.45%
  • 無担保・無保証人の融資……41~2.80%
  • 担保を提供する融資……11~2.10%

などに設定されています。

ただし、資金使途や返済期間などによって利率は変わります。自身の場合がどうかについては、窓口で相談して確認しましょう。

相談したい場合は、市町村の窓口などで相談ができます。

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の担保・保証人について

担保や保証人の設定については、「必ず設定すること」などの決まりはありません。

あくまでも、窓口にて相談の上その種類・有無を決定します。

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の申請の流れは?

申請をするには、以下の流れで手続きをすることになります。

  • それぞれの市町村の窓口(商工担当課等)で相談、融資について決定
  • 必要書類の準備や作成
  • 面談・審査

上記の手続きを行い、審査を通れば、認定書が発行されます。

認定書を持参し、いよいよ申し込みへ。

  • 希望する金融機関
  • 所在地の信用保証協会

いずれかへ融資を申し込みましょう。

これを終えると、無事に融資を受けられます。

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の申請に必要な書類って?

セーフティネット貸付の申請に必要な書類は、地域によって異なります。例えば、

東京都港区 ●    認定申請書(区所定の様式を2枚)

●    同意書(区所定の様式)

●    登記簿謄本(履歴事項全部証明書)

●    会社の実印

●    月別の市産業、帳簿等

神奈川県横浜市 ●    履歴事項全部証明書

●    青色申告決算書1ページ目

●    売上高計算書(銀行の支店長印または税理士(公認会計士)の押印必須)

●    4号認定申請書(2枚)

大阪府大阪市 ●    認定申請書

●    添付資料(計算書)

●    「大阪市内事業所」の確認書類

●    「指定地域にて1年事業継続」の確認書類

●    各月売上高の確認書対「月別売上表」(大阪支所定様式)

 

など。大抵の場合、

 

  • 認定申請書
  • 確定申告書
  • 決算報告書
  • 売上高等の減少が確認できる書類

が必要になります。認定申請書をダウンロードしてコピーする際に、自身の地域での必要書類を確認しておきましょう。

 

手続きは少し複雑だけど、融資を受けられれば頼もしい!

認定と申し込みの手続きが違う場所だったり、地域で用意する書類が違ったり、少々複雑な融資です。

しかし、経営が悪化していても借りられる、使い道が広いなどメリットもたくさんあります。

あまり悩みこまず、ぜひ窓口に相談してみてください。