コロナの影響を受けて悩んでいる事業者に!雇用調整助成金の特例措置で従業員の雇用を維持しよう!!

 

日本では新型コロナウイルスの感染を抑えるため、時短営業や営業自粛要請といった措置を長期的に実施しているものの、飲食店を中心に厳しい経営状況になりつつあります。

そして経営者の中には、人件費の負担で頭を抱えているケースも少なくありません。

厚生労働省では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に取り組む事業者に向けて、雇用調整助成金の特例措置を実行しています。

 

雇用調整助成金とは?特例措置って何?

政府では、2020年2月頃から感染拡大の進む新型コロナウイルスの影響を抑えるため、営業自粛要請や時短営業の要請、国民に対して外出や飲み会などの自粛を呼びかけています。

営業自粛や外出自粛などによって企業活動の縮小を余儀なくされた企業は、休業も実施しなければいけない状況となりました。

そこで厚生労働省は雇用調整助成金の特例措置を設け、従業員の雇用維持を図っている企業を助成金という形で支援しています。

 

雇用調整助成金の特例措置の概要

雇用調整助成金の特例措置は、新型コロナウイルスの影響で業績悪化および事業縮小中でも、従業員の雇用維持を図ることができるよう休業手当の一部を助成しています。

たとえば以下のような状況の場合、雇用調整助成金を活用できる可能性もあります。

・外出自粛要請によって集客率が下がり売り上げも低下し、従業員の休業を指示

・時短営業の関係から従業員の休業を指示

厚生労働省が制度の運営管理を行っており、ハローワークもしくは管轄の労働局にて申請手続きを受け付けています。

 

通常の雇用調整助成金との違い

通常の雇用調整助成金制度は、新型コロナウイルスの影響によって事業活動を縮小しなければいけない多くの事業者を幅広く支援できませんでした。

そこで政府は特例装置を新たに設けて、各種要件の緩和・拡大を行いました。

 

特例措置で拡大された主な要件

・新型コロナウイルスの影響を受けた全業種を助成対象

・生産指標要件を3ヶ月10%以上から1ヶ月5%以上減少に緩和

・雇用保険被保険者以外の労働者も支給対象

・大企業、中小企業の助成率を拡大

・助成金の上限額を8,370円から15,000円へ緩和

・雇用調整助成金の計画届提出を不要

・雇用調整助成金のクーリング期間を廃止(通常は、雇用調整助成金の期間満了から1年以内に再度受け取ることはできない)

・支給限度日数を1年100日、3年150日に加えて特例措置で設けた期間も対象

・休業の要件を緩和

・残業相殺の廃止

・教育訓練時の加算額を追加

・出向期間要件を3ヶ月以上1年以内から1ヶ月以上1年以内に拡大

 

生産指標要件とは、売上高や生産率のことです。特例措置の生産指標は、1年前の1ヶ月分で比較すればいいため、生産性に関するハードルが大きく下がっています。

助成率は、「平均賃金額× 休業手当等の支払率×助成率」で算出した数値です。中小企業は、最大100%の助成率です。つまり、支給上限額15,000円に達する可能性があります。

このように助成金率や上限額を拡大しているだけでなく、雇用調整助成金制度を速やかに活用できるよう、計画届の提出不要や対象業種など緩和していることが分かります。

 

支給対象となる事業者の要件とは?

雇用調整助成金の特例措置では、いくつか要件を緩和しているものの無条件で利用できる訳ではありません。

事業者は、受給に必要な書類の準備と3つの要件「新型コロナウイルス感染症の影響」「事業活動の縮小」「労使間の協定」を全て満たす必要があります。

受給に必要な書類は、従業員約20名以下の小規模事業主と中小・大企業で一部異なります。主に必要な書類は、以下の通りです。

・雇用調整事業所の事業活動の状況にする申出書

・支給要件確認申立書・役員等一覧

・休業・教育訓練実績一覧表

・助成額算定書

・(休業等)支給申請書

・休業協定書

・事業所の規模を確認する書類

・労働・休日の実績に関する書類

・休業手当・賃金の実績に関する書類

 

出典:厚生労働省ホームページをもとに作成

受給に必要な書類は、従業員約20名以下の小規模事業主と中小・大企業で一部異なります。

詳細な仕様や書類形式については、厚生労働省の特設サイトにて確認できます。

詳細はこちらをチェック!参考URL: 雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている状況は、数値などで示されていないため判断の難しい部分です。

たとえば…

・居酒屋を経営しているが、時短営業により売り上げ減少

・外出自粛によって、客足が遠のいて売り上げ減少

・ソーシャルディスタンスの確保など、感染拡大防止策によって客数を抑えなければならず売り上げ減少

こういったケースは、新型コロナウイルス感染症の影響に該当する可能性があります。

 

 

事業活動の縮小

事業活動の縮小とは、生産指標要件のことです。

直近1ヶ月分の売上高や生産性などが、前年の同月1ヶ月分と比較し、5%以上減少していなければいけません。

 

たとえば…

・2019年4月の売上高:500万円

・2020年4月の売上高:450万円

このような状況でも、事業活動の縮小状態とみなされます。

 

 

労使間の協定

雇用調整助成金で定める「労使間の協定」は、事前に労働者との間で休業日数や対象者の要件、休業手当など取り決めた上で、休業を実施している状態を指します。

ただし、新型コロナウイルス感染症の影響によって書面での協定が難しい場合は、代替書面での確約などで対応可能となっています。

 

助成対象となる労働者の要件とは?

雇用調整助成金の特例措置では、労働者に関する要件も2点取り決めているのが特徴です。

1つは、助成金の支給対象に含まれる事業者で雇用されている雇用保険被保険を、助成対象としています。

もう1つは、雇用調整助成金の特例措置で定めている「休業」に該当しなければいけません。

なお、「休業」は6項目に分かれていて、全て該当する必要があります。

 

「休業」とは…

・労使間の協定によって実施する休業であること

・事業主が定めた期間内に休業すること

・休業実施日の延日数が、所定労働延日数の40分の1以上(大企業は30分の1以上)

・休業手当が平均賃金の6割以上であること

・所定の労働日および労働時間内に実施されている

・全日休業もしくは、1時間以上の短時間休業

延日数とは、ある仕事を1人で取り掛かった場合にかかる日数のことです。

雇用保険被保険者以外の労働者は、雇用調整助成金の特例措置ではなく「「緊急雇用安定助成金」と呼ばれる制度で助成金を受給できます。

 

助成金の具体的な金額は?

助成金額の上限額は、1人あたり15,000円/日です。

ただし実際に受給できる助成金額は、事業規模や休業手当額などに応じて変わります。

また、助成金を求める計算式で、具体的な金額を算出します。

 

計算式とは…?

・(平均賃金額(小規模事業主は不要)× 休業手当等の支払率)×助成率×休業日数=助成額

大企業の助成率は、原則3分の2です。ただし、解雇なしなど一定の要件を満たした場合は、4分の3へ変わります。

対して中小企業の助成率は原則5分の4ですが、上乗せ要件を満たしている場合に限り10分の10分となります。

支給限度日数については、1年100日など定められているものの、2020年4月1日~2021年2月28日の休業も対象です。

 

雇用調整助成金の特例措置を受ける方法

雇用調整助成金の特例措置で助成金を受給するためには、以下の流れで休業の実施と申請手続きが必要です。

1.労使の協定、休業日数や手当など具体的な計画を立てる

2.休業の実施

3.休業実績を含む必要事項を指定の書類に記入

4.必要書類を最寄りのハローワークもしくは、管轄の労働局へ提出

5.審査

6.支給決定および通知

7.後日指定口座へ助成金が振り込まれる

助成金の対象となる休業期間は、2020年4月1日~2021年2月28日です。(2021年1月4日時点の調査)

申請期限は、休業実施日(支払い対象期間)の最終日の翌日から2ヶ月以内としているので、早めに書類の準備や必要事項の記入など済ませておきましょう。

 

従業員の雇用を継続するために雇用調整助成金の特例措置を活用しよう

2020年に始まった新型コロナウイルスは、人々の生活や企業活動に大きな影響を与えています。そして2021年も営業自粛や時短要請などといった、厳しい経営状況になると考えられます。

そこで経営および雇用を維持するためにも、雇用調整助成金の特例措置を活用してみるのはいかがでしょうか。まずは厚生労働省公式HPや電話で、詳しい要件や申請書類を確認してみてくださいね。